フランス国内ではマクロン政権への抗議デモ活動が毎週土曜日行われています。
その抗議デモを行っている人たちは、ジレジョンヌ(Gillets Jaunes)と呼ばれています。
直訳すると「黄色いベスト(羽織り物)の人たち」という意味です。
彼らの抗議デモの際のユニフォームは黄色のベストで、よく工事現場や工場などで視認性を高めるために身に着けられるベストです。
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フランスでは蛍光色の黄色いベストは、車の中に置いておくのが法律で義務付けられていて、車が故障した際にそれを着て車外に出なければいけないルールがあるようです。
かなり多くの人が当然のようにこのベストを持っていた理由がなんとなくわかります…
抗議活動としてどんな行動をしているか
彼らは抗議行動として主要幹線道路を一時的に塞いだり、高速道路の入り口を塞いだり、交差点を塞いだりしています。
ロータリー周辺ではタイヤを燃やしていることもあります。
また、主要都市では大勢の人が行列になり抗議デモの行進をしています。
一部では火をたいたりして過激化することもあります。
警察や機動隊などが出動し、デモ隊と緊迫した状態になることもしばしば。
ジレジョンヌが始まったきっかけとその要求
政府政策の燃料税の増税がきっかけで、それはフランス全土に広がっていきました。
日本のメディアなどで報道されるデモはフランスのパリの情報が中心になると思いますが、実はこの運動は地方から始まっているんです。
運動は、最初はネットで始まりました。
2018年11月中旬には、ネット上の署名活動で、86万人くらいの署名が集まったと言われているようです。
政府政策の燃料税の増税予定金額は、およその目安として、リッター当たりの軽油の値段が7円から9円、ガソリンは4円程度値上がりするということになります。
燃料税の増税は通勤を含めた移動に自動車が必須な場所に住んでいる方々には大きな打撃がありますからね。
2018年11月17日(土)1回目のデモが始まり、その後毎週土曜日にデモが行われるようになり、2019年2月に入っても今もまだ続いています。
フランスは一般労働者の労働賃金は決して高くはなく、その一方で税金はものすごく高いです。
そのおかげで(?)医療や教育にかかる負担は日本と比較するとだいぶ安い印象ですが、考えてみればあらかじめ収めている(納税負担)といっても過言ではないのかもしれませんね。
政府が打ち出した政策は、低所得者たちにとっては生活が良くならないのに、一方では裕福層への優遇措置(130万ユーロ(約1億7千万円)以上の資産への累進課税が廃止)をするというものもあり、そういった政府の政策の在り方に不満が爆発し、今回のようなデモや暴動につながっています。
マクロン政権の対応
2018年12月7日のデモによって、燃料税の増税を1年間凍結しました。
また、「最低賃金の引上げ」と銘打って、低賃金の労働者に対し、100ユーロ/月を国が支給(負担)するという方針も打ち出しました。
しかし、この100ユーロの支給はマクロン政権が継続している場合にしか適用されず、政権が変わればその政策も白紙に戻るといった内容のようです。
どんな人が参加しているの?
基本的には貧富の差をなくせという純粋に政府に対しての要求と抗議を行っている人たちですが、その中には暴動を起こすような人たち、力に任せて暴れまくる人たちも混じっています。
その暴徒は基本的に黒い服で、黄色いベストを羽織っていないらしいのですが、単にベストを羽織るかどうかだけなので明確な区分はしにくいです。
フランス人はみんな暴れると印象を持つのは避けてくださいね。
暴れているのは一部の人であって、この抗議デモの中心にあるのは平和的に(暴力に訴えるのではなく)国の政策に対する抗議をしている人たちです。
誰が主導?収束するのか?
政府がジレジョーヌのデモの終息のために手をやいている背景としては、ジレジョーヌには明確な代表者がいないことと、SNSを通じて国民に抗議デモを呼びかけられていることです。
今までのフランスの歴史の中でも、政策や政府の決定事項への不満は国民が団結して、声を上げて訴えるという解決方法をとってきました。
政府が抗議行動を収束させるために誰かと交渉をするにしても、この抗議活動の明確な代表者がいない以上、そう簡単には収束しないと思われます。
混乱に乗じた無秩序な衝突・暴力行為は何も生み出せないので、どうにか収まらないかと祈るばかりです。
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